名門ホテルに学ぶ、ホスピタリティとCS(顧客満足)活動  高松 功次(札幌ブロック)

生 年 月 日 昭和36年4月6日
開業年月日 平成11 年4月14日
開 業 場 所 札幌市厚別区厚別北2-5-1-12
卒業年月日 平成9年3月卒
出 身 校 北海道柔道整復専門学校
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高松 功次
(札幌ブロック)

<<はじめに>>

物が売れない時代にどうやって物を売るか-我が業界に置き換えてみると、養成学校の乱立、有資格者が大量に世に出て整骨院も乱立、施術料金の伸び悩み、保険者からの悪意さえ感じる受診者への調査等でどんどん患者さんが減ってきているとの声が多く聞こえるこの時代。そんな中でどのように生き残っていくか。柔道整復師としての技術の向上は言うに及ばずプラス何か、と考えたときに、最大の武器は『ホスピタリティ』にある、と考えた。

『ホスピタリティ』はラテン語から派生した『ホスペス』が語源で「旅人や客をもてなす」などと訳す。その昔『旅』は一大事業だった。今のような交通手段もなく道中の安全も保障されていない時代、巡礼や参拝のために長旅覚悟で出かける旅人が、途中で身体をいやしたり食物や水を提供される場所として、また病やけがに見舞われた場合の治療場所としての役割を担ったのが教会や修道院である。その後それぞれの機能が分化・発展し宿泊施設はホテルに、治療施設はホスピタル(病院)に置き換わった。つまりホテルも病院も同じホスピスを語源としているのである。

『ホスピタリティ』を語る際私の脳裏にはいつも『ホテル・リッツカールトン』がある。

1997年リッツカールトンは大阪に国内第一号のホテルを、2007年東京六本木に『リッツカールトン東京』をオープンさせた。価格にうるさい関西圏でわずか数年で客室稼働率90%を超えホテルランキングのトップに躍り出た。また全業種の顧客満足度ランキングで旭山動物園、東京ディズニーランドに次いで第3 位の地位を獲得した。

このリッツの強さはどこから来るのか、それは徹底した『ホスピタリティ―おもてなし』にある。その『極上のおもてなし』を学ぼうと、リッツの主催する接客・おもてなしのセミナーの門を叩くサービス接客業、金融、航空、自動車販売、そして医療機関が増えてきている、日本だけでも3000 社に上る。

ビジネス業界のリッツに対する関心の高さは並ではない。リッツに関する書物の中でこんな文章がある。「心のこもったおもてなしは飽くことがない、素晴らしいおもてなしは何度受けても新鮮な感動を呼び起こされるものです」。その『おもてなし』のいくつかを本来ならここで紹介したいのだが、紙面に限りがあるため今日は残念だが割愛させていただいた。

27年前新婚旅行で宿泊したアメリカ・ボストンのリッツで受けた感動以後、私は常にリッツに関する書物や記事を読み漁りリッツのホスピタリティを学び、感じて我が仕事にどう生かせるか考え下記の取り組みを目標としてきた。

<<当院の取り組み>>

  • 挨拶―必ず顔を向けて笑顔で挨拶をする、患者さんに思いを寄せての挨拶を実行する。
  • カルテの確認―前回来院時の状態を把握し今日の様子を伺う。患者さんは自分の状態が正確に相手に伝わっていることに安心感を覚え、きちんと受け止めてくれていることに喜びを感じる。
  • 患者さんが私や他のスタッフに同じことを何度も言わなくても済むよう、一度言ったことがスタッフ全員に伝わるように『情報共有ノート』を作製活用する。全員で知っておくべき患者さんの情報を各々書き常に各自で確認してから仕事をする。
  • 患者さんというのは、思っているほど我々に物を言えない。言い辛い心情があることは自分が患者となった経験から感じているので、気持ちをくみ取って差し上げるように努める。
  • 患者さんを紹介してくれた方への礼状、ロイヤルカストマー作り。
  • 高校生以下の学生だけで来院された場合、必ず親に電話して、怪我の状態、今後の見通しなど説明をする。当院の施術方法を理解してもらう。これは母親同士のネットワークで『紹介』という形で生きてくる。
  • 患者さんが、紹介した先の病院で精密検査や手術などをした場合、電話で様子を伺う。
  • 当院は学生のスポーツの患者さんが多いので、大会で優勝した時や、活動の写真やパネルなどを掲示している。他の患者さんや関係者とのコミュニケーションに役立っている。
  • 『クレーム』は『アドバイス』と捉え、当院がより良くなる『オポチュニティ(機会)』と捉えて対処する。苦情が出ないということは患者さんが満足されていることとは違う、苦情を言いやすい雰囲気を作ること。患者さんが言葉にされない『不満』にも思いを馳せる姿勢でいる。

<<まとめ>>

以上話したことは実はどなたでも思っていること、実践されていることだと思う。問題はその持続性である。
当院では機会あるごとにスタッフで話し合い、その気持ちの維持に努めている。
最後に、一つだけリッツのおもてなしのモットーを紹介して終わりにしたいと思う。
 
『We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen』(紳士淑女にお仕えする我々も紳士淑女です)
 
私たちは常に勉強し、種々の医学的情報のあふれる昨今、患者さんの知識に負けないよう最新のジャーナルに目を通し、会の勉強会や、学会に出席し研鑽を積む、また施術の技術は勿論自己の感性や教養を磨き自分の品位を高めなくてはならない。リッツでは目指す年収の5 %を自分に投資しなさいとまで言われている。以上です。

<<参考文献>>

・グロービズ・MBAマーケティング(ダイモンド社)
・リッツカールトン―超一流のサービスの教科書(日本経済新聞出版社)
・リッツカールトン20のミスティークオータパブリケイションズ
・Wダイヤモンド2007/03/31リッツ・カールトン極上の「おもてなし」
・最高のサービス(講談社)