【第37回】メタボリックシンドロームとは

<<プロローグ>>

 今、非常に話題になっていますが、今年の4月から「特定健診保健指導」という事で、いまだに新聞に出ている問題点や、
本当にこれで良いのか色々な事が話題になっておりますメタボリックシンドロームと、
特に「特定健診保健指導」につきまして紹介させていただきたいと思います。

 本日の話の内容は、肥満、糖尿病、高血圧に代表される生活習慣病とは、
そしてメタボリックシンドロームとはどういうものなのか、これを前半で紹介させて頂きます。
 このメタボリックシンドロームを対象に国の政策として「健康日本21特定健診」と保健指導が法律に入れられ4月から動いております。
こちらの話を、後半に紹介させて頂きたいと思います。

<<生活習慣病とは>>

 まず、生活習慣病又はメタボリック症候群がどういう病気なのか、日本人の死因別の死亡の割合ですが、
ここに居られる400~500人の先生方に一番怖い病気は何かと聞きますと、90%以上の方が癌と答えられると思います。

 しかし、死亡からみると、癌は31%の方が亡くなっていますが、心臓病が15%で脳卒中が14%と両者を合わせると30%になります。

 つまり、死亡率で死亡の原因となる病気を考えると、実は、癌と心臓血管系の病気、すなわち動脈硬化をベースとした病気は、ほとんど同じなのです。

 なぜか癌が怖いという感じがありますが、ほとんど同じくらい怖い病であるという事を、
是非、認知して頂きたいと思います。死亡を起こす原因としては、ほとんど同じであるという事です。

 今の生活習慣病の現状がどのようになっているのか、まず、生活習慣が欧米化してきました。
我々の小さい頃は、ケーキなど一年に一回しか食べられませんでした。
弁当は、塩が白く噴いている塩鮭弁当が常識でしたが、
今は、豪華な弁当を食べていると思います。このような生活習慣が欧米化されて、非常に変わってきました。

 さらに、寿命が延びて高齢者が増えてきました。その結果、生活習慣病が大変増えて来ました。
実際には、糖尿病の患者さんは、820万人。予備軍は、1,050万人ですから、合わせるとほぼ2,000万人です。

 高血圧は、一番新しい18年度の統計では、約4,000万人です。全人口が一億2,000万人ですから、赤ちゃんも入れて3割です。
赤ちゃん、また10代・20代の方は、ほとんど高血圧の人はいません。
つまり、30代からどんどん増えて、50歳を超えると半分以上、70歳を超えると7割の方が高血圧。
風邪の患者より多いもので、予備軍を入れると、全人口の半分位になってしまいます。

 脂質代謝異常、高脂血症の方も1,500万人。
これらの原因で亡くなる方が1/3いらっしゃると申し上げましたが、脳と心臓を合わせると(脳)13万、(心臓)5万と非常に多い。
 糖尿病も代表的な生活習慣病ですが、糖尿病で失明される方が年間3,500人。
人工透析に入る方が14,000人。腎炎を超えて糖尿病で透析に入る方が一番多く、足を切断せざるを得ない方も、年間3,000人おります。
このように、非常に怖い、癌と同じかそれ以上に怖いのが、生活習慣病・動脈硬化症や代謝の病気なのです。
こういうものが、非常に増えています。これに対して、対策を打たなければならない。