生 年 月 日
開業年月日
開 業 場 所
卒業年月日
出 身 校 

昭和43年3月13日
平成7年8月7日
北斗市本町407ー50
平成2年3月
日本柔道整復専門学校

【本人談】 


安保浩昭
(函館ブロック)

<<はじめに>>

 筋・筋膜性腰痛症は我々が日常業務で数多く遭遇する疾患であります。当院で治療として腰痛体操を取り入れたことにより良好な結果が得られたので報告いたします。

(筋・筋膜性腰痛症とは)
 腰部および殿部の痛みを中心とする疾患で、腰椎や骨盤・椎間板などに異常が認められず、神経症状のない疼痛症候を一般的に筋・筋膜性腰痛症と呼んでいる。

<<特徴として>>

・ 若年から中年に発症しやすい。
・ 重い荷物などを持上げる時などに急に腰部に激しい疼痛をおこす。
・ 過度の腰椎の運動や異常姿勢による機械的刺激や過労により発症。
・ 疼痛が強度のため体幹の前屈・後屈が障害され寝返りも困難となることもある。
・ 疼痛は、安静の後・動き始める時に最も強く痛むのが特徴である。

<<対 象>>

 平成17年8月から平成18年1月までの半年間に来院された患者さんの中から筋・筋膜性腰痛症を疑う33例(14歳から63歳)。男性21例、女性12例を対象とした。

<<方 法>>

 低周波や温熱等の物理療法、マッサージ等の治療後に腰痛体操を行った。体操の前後に体幹前屈時の指床間距離と体幹後屈時の角度を計測し、比較することで体操の効果を評価した。体操は4種類を1セットとして2セット行った。

1.

仰臥位にて両膝を立てた状態から抱え込む。10秒程度保持する。脊柱伸筋・腰仙部筋膜靭帯の伸張を目的とする。

        

2.

仰臥位にて両膝を立てた状態からお尻を持ち上げて5秒間保持し下ろす。2回繰り返す。大殿筋と膝屈筋群の強化を目的とする。

      

3.

仰臥位にて一方の下肢を伸展位のまま持ち上げストレッチする。15秒程度保持する。左右を2回ずつ行う。膝屈筋群の伸張を目的とする。

    

4.

仰臥位にて両膝を立てた状態から自分の膝を見るように体を起こす。角度は30度くらいになるように。起こすことが出来ない時は頭を持ち上げるだけでもよい。5秒保持し、3回行う。腹筋強化を目的とする。

  


 基本的には4種類を1セットとして2セット行うが、症状により行えない運動は省略した。

<<結 果>>

 全ての事例で体幹の前屈・後屈時の疼痛が軽減し、前屈時の指床間距離が短縮し、体幹後屈時の角度の増大を確認した。

体操前
体操後

 指床間距離 (平均)

7.8cm
3.2cm
4.6cm

 後屈時の角度(平均)  

3度
8度
5度

【症例1】

 45歳 男性

原   因:

自宅前にて雪投げ中に捻転し負傷する。

主   訴:

右腰部痛

初診時所見:

腫脹・熱感なし。体幹前屈時に疼痛なく、後屈時に疼痛出現。背部に筋硬結あり。体幹前屈時の指床間距離10cm、体幹後屈時の角度−5度。

体 操 後:

体幹前屈時の指床間距離5cm、後屈角度0度に改善される。以降2回の治療・体操にて治癒となる。

【症例2】

 39歳 女性

原   因:

自宅寝室にて布団を持ち上げようとして中腰になったときに負傷する。

主   訴:

腰部痛 

初診時所見:

腫脹・熱感なし。体幹前・後屈時に疼痛あり、後屈時の疼痛強い。四頭筋の緊張が強く、腹筋力が弱い。

治療・体操:
  後  

体操直後は症状が軽減するも中腰姿勢等により疼痛が誘発される。この後3週間(12回)の通院により治癒となる。

<<考 察>>

 筋・筋膜性腰痛症の患者さんの多くが体の柔軟性の低下や筋力の低下・血行不良等が認められ、症状が出現しやすい状態にあると思われる。腰痛体操を行うことによりこれらが改善され症状が軽減するのではないかと考えた。
 よって腰痛体操を通じて柔軟性の低下や筋力不足等を自覚していただき、症状が改善された後も腰痛体操を続けるように指導することが大事であると考えた。

<<参考文献>>

 1) 現代整骨術全集(下巻) 梓川書房
 2) 大井淑雄・博田節夫編 運動療法
   第2版 医師薬出版株式会社








 

生 年 月 日
開業年月日
開 業 場 所
卒業年月日
出 身 校 

昭和48年11月23日
平成13年11月
神川郡美瑛町本町3丁目4-6
平成7年3月
北海道柔道整復専門学校

【本人談】 


稲川広基
(旭川ブロック)

<<はじめに>>

 日常業務においてジャンパー膝やシンスプリント等下肢のスポーツ障害で来院される患者さんは多くみられる。待合室からベッドに入るまでの様子をみると歩き方にいくつかの共通点がみられた。跛行とまではいかなくとも、明らかに格好の悪い歩き方である。しかし問診では歩行痛は無く、運動痛または運動後の痛みがほとんどであった。そこで、歩行とスポーツ障害との関係を調べてみた。

 歩行には足が地面についている立脚相と離れている遊脚相とに分かれる。立脚相には踵接地、足底接地、立脚中期、踵離地、足尖離地がある。前半は遊脚相で失われた平衡をもとに戻そうとする抑制期、後半は足指が地面を蹴って推進力がかかる推進期である。

その中で今回は立脚相について考察してみた。

 

<<方 法>>

スポーツ傷害を訴える中学生を対象に行った。

 男性14人 女性14人

ジャンパー膝 
有痛性外脛骨
足底筋膜炎 

13人 
2人 
2人 

 シンスプリント
 踵骨炎

7人 
4人 


上前腸骨棘

膝蓋骨中央

第1趾2趾中足骨間
それぞれにマーキングする。

進行方向に直線を引き、これを基線とした。
基線を意識せずに歩いてもらい、正面から見た左右の踵間の距離である重複歩幅、足角について調べた。足角は踵骨中央から第3趾にかけての線ではなく、第1趾2趾中足骨間のものとした。

     

重複歩幅、足角をそれぞれ分類

a.

内旋位歩行

足底部がすべてついた立脚中期では、足角は0°以下(内旋位)にある。

b.

外旋位歩行

足底部がすべてついた立脚中期では、足角は0°以上(外旋位)にある。

c.

二直線歩行

重複歩幅が大きく基線を踏まない

d.

一直線歩行

重複歩幅が小さく基線を踏む

<<結 果>>

   内旋位歩行 − 男性 8人  女性13人
   外旋位歩行 − 男性 6人  女性 1人
   二直線歩行 − 男性11人  女性 5人
   一直線歩行 − 男性 3人  女性 9人

  男女ともに内旋位歩行、二直線歩行が多くみられる。


<<考 察>>

 本来足底に加わる圧力をみてみると、踵末端から始まり内側縦アーチの外側を通り母指に抜けてゆく。特に足底圧の高い点は踵骨中央から出発して小指球に達し、ここから内側に向かって母指球を抜けてゆく。

 内旋位歩行では踵骨から始まり内側縦アーチの外側をとおり小指球までで母指球にはあまり圧がかからない。外旋位歩行では逆に小指球圧がかからない。つまり、どちらにせよ最後の蹴りが出来ていないことになる。これにより足底の屈筋郡の筋のバランスが崩れ踵骨炎、足底筋膜炎が起こりやすい状態をつくると考えられる。また踏み出した状態で膝を屈曲させると上前腸骨棘と1趾2趾との直線上にはなく大きく外れている。これは基本的に屈曲伸展しか行わない膝に大きな負担をかける。大腿下腿ともに外側部の筋が緊張する。また下腿には捻転力が加わることになる。

 二直線歩行では重複歩幅が広いため踵ではやや内側から始まり内側縦アーチの外側をとおる。しかし一直線歩行に比べると縦アーチ部ではやや内側に負担がかかる。このため縦アーチ形成に重要な後脛骨筋に過緊張がおき外脛骨を起こしやすい状態をつくる。
 この歩行パターンは走行、ジャンプ等競技時にも同様のことが起きていると予想されるため、下肢への負担が少ないと思われる歩行パターンを指導した。

踵は基線を踏む一直線歩行。

足角は基線と平行にする。

膝の屈伸運動は膝蓋骨中央のポイントが上前腸骨棘と第1趾2趾中足骨を結んだ線上で運動する。



 これにより下肢の筋バランスがとれ障害が起こりにくい状態にすることができ、また運動エネルギーのロスを減らすと考えられる。


<<まとめ>>


 歩行パターンによりスポーツ障害の予想を立てることが出来る。

 今後の予防策、運動指導にもなると思われる。



<<参考文献>>

  中村 隆一、齋藤 宏 著:基礎運動学
  ジョセフJシプリアーノ 著:整形外科テスト法