第1会場 第2部 第5題




 

生 年 月 日
開業年月日
開 業 場 所
卒業年月日
出 身 校 

昭和48年11月4日
平成17年8月1日
名寄市風連町大町8−1
平成10年3月
北海道柔道整復専門学校

【本人談】

 今回の演題を選んだのは、自らの経験で水中での肩関節脱臼のリハビリについて考えてみました。そして、自分自身が肩関節脱臼を経験しているのでまとめやすいと思いこの題材にしました。


相馬 孝至
(名寄ブロック)

 制作期間は約3ヶ月かかりました。文章を書くのが苦手なので要点をまとめ形にするのが苦労しました稚拙な発表になるかと思いますが何とか頑張ってみたいです。

  発表が終わって、緊張はしたがけっこううまくできたと思います。又道、ブロックの学術部の先生方に気を配っていただきいくらか気楽に発表できました、有難うございました。次の発表者には早め早めの準備が大切だと思いました。


<<はじめに>>

 肩関節脱臼は関節の構造上発生頻度が非常に高く、全外傷性脱臼中約50パーセントを占めるほどであり、多くの先生方も日常の診療で接する機会の多い症例かと思われます。
 また、習慣性脱臼になりやすいこの症例の再発を出来うる限り防ぐためには、どのような治療・リハビリをすればよいのだろうか?というところに主眼を置き、自分自身が肩関節脱臼を受傷し完治するまでの経験を通して得たものから少しでもヒントになるものがあればと考え、今回の発表をさせていただきたいと思います。




○受傷の経緯



 日時:平成13年11月17日
 原因:柔道の乱取稽古中、左からの袖釣り込み腰で投げられた際に左手でかばい手をついてしまい左肩関節前方脱臼を受傷。
 自覚症状:限局性の激しい疼痛、左肩関節の全方位への運動不可、肘・手・指の各関節は異常なく動かすことがで出来ました、左上肢の感覚は正常だったため神経損傷は無いと判断。


 診断の結果、骨折等の著しい合併症は無くその場で直ちにヒポクラテス法にて整復してもらい、その後包帯固定処置を施される(画像参照)。整復・固定処置後、患部の疼痛はかなり落ち着いた。

○治療・リハビリの経過

包帯固定中でも患部に影響のほとんど無い手指関節の自動運動は受傷初日から積極的に行いました。
 道具等は用いず、手を握る・開くをゆっくりと繰り返し、手関節は掌背屈や回旋運動を行い、肘関節の屈伸運動もごく軽くではあるが行った。
 固定中は当然ではあるがどうしても肩関節の動きが制限されるため頚部の屈伸・回旋・側屈ストレッチを積極的に行い、いわゆる凝り・張りが出ないように勤めた。

 これは症状自体の緩和・治療には直接関係無いちょっとした事ではあるが長期間のリハビリを行う上では重要な事ではないかと感じました。 


 治療としてまず10分間の低周波の通電治療、そののち軽度の柔整マッサージを毎日行ってもらった。

 さらに肩関節のリハビリ運動としては初期の段階では軽度の前方挙上・後方伸展・外転・内転を他動運動で行い、のちに自動運動を開始し、徐々にそれぞれの可動範囲を広めつつその後、内旋・外旋運動も開始した。

 ただ外旋運動は再脱臼の恐れがあるため、初期は気をつけながらごく軽度に行った。

 受傷後2週間前後から各々の動きに軽度の抵抗運動も加え徐々に抵抗の強度を上げてゆき、さらに斜め方向の動きも取り入れてあらゆる方向へ動かすようにした。

 また、この時のリハビリに加えて治療前の入浴中に手・指・肘関節の運動を行った。
これは自分自身で入浴中の温熱効果で筋緊張がほぐれるのではないだろうか?

 そのため通常のリハビリよりも疼痛感や拘縮感が少なく関節可動域を大きく動かせるのではないか? また、お湯の中での運動は自然な抵抗運動で筋力回復には良い方向で働くのでは?と考え、自分の師匠にあたる先生にうかがい、了解を得た上で毎日実行してみました。

 のちに肩関節のリハビリ運動も入浴中に行うようにしました。 しかし最初は肘関節直角位での前方挙上・後方伸展の反復運動とごく軽度の側方挙上を少しずつ行った。

 完治までの間、肩関節の状態の向上に伴い筋力強化を目的に少しずつ運動の強さを上げ、また関節可動域の拡大を目的に少しずつ運動範囲を広げていった。

 関節可動域がほとんど回復しても肩関節周囲の筋力回復・筋力向上を目的に入浴時の運動は欠かさなかったが90度以上の挙上でなければ全ての方向の運動が自然に抵抗運動になりました。 

<<考 察>> 

肩関節は可動域の非常に大きい関節であるためにリハビリの際は様々な方向の運動が必要になるので、どの動きに対しても自然と抵抗が加わる水中でのリハビリはとても効果的なものだと感じました。

 また、浮力が働くため挙上運動の可動域拡大にも効果があると思われます(浮力の作用は筋力向上目的には相反する)。
 更に温水プールやお風呂などで行う場合は温熱効果による筋緊張の緩和・痛みの緩和の効果も期待できる。
結局固定の完全除去には約3週、スポーツ(柔道)再開に約5週かかったが通常の治療とリハビリに水中での運動を加えた事により早期治癒効果が多少なりともあったのではないかと思われる。

<<総 括>>
 ・通常のリハビリ治療が否定されるということは無い。
 ・通常のリハビリ治療に水中での運動をプラスすることで飛躍的ではないにでよ少なからず効果はあった。
 ・この方法を用いたリハビリでのマイナス面はこれといって見当たらない、あえて言えば余程狭い浴槽だと運動の幅が狭くなるという点くらい。
 ・肩関節のみならず他の症例においても効果的に用いることが出来る可能性が十分にあると考えられる。


○参考文献

 柔道整復理論(南江堂)、解剖学(南江堂)



(座長の感想)   

身近に行えるテーマで良かったのだが、一症例のみで比較対象を作っての発表がほしかった。







第1会場 第2部 第6題




 

生 年 月 日
開業年月日
開 業 場 所
卒業年月日
出 身 校 

昭和33年12月8日
昭和62年5月1日
小樽市若竹町3番7号
昭和57年3月
北海道柔道整復専門学校

【本人談】

 この演題にしたのは、日常施術の中には神経炎を伴った症状が増加してきているのではと思い、又、柔整師には無関係とは言えないのでは、と思い論文にしました。


松濱 広明
(小樽ブロック)

神経炎については3年前からで、 論文については半年の期間かかりました。神経炎と日常施術との接点の説明をどうしたらいいのか苦労しました。

 発表はとにかく頑張るだけです。発表後の感想は、なかなか上手くできなかったのであまり内容も上手く伝わらなかったと思えた。


<<緒 言>>

 柔整師が臨床の現場で取り扱う外傷性頚部捻挫、背部挫傷の中で一般的であるが、頚椎胸椎の器質的変化を伴う疾患で転医する報告は多い。

 過去3年間において当院で扱った頚椎、胸椎の器質的変化のない外傷性頚部捻挫背部挫傷の中で、ウイルス性の神経炎を伴った21症例が日常施術の中にあった。


 (すべて医師の診断による)初検時外傷性と類似し、なぜ外傷性に伴って神経節に潜伏しているウイルスが活性化発症するのか、医師の診察結果を基に、初検時から転医する間の施術21症例を分類判別比較した結果を報告する。  

                  

<<対象と方法>>  

 まず始めに今回症例に関係したウイルスについて簡単に説明する。

 このウイルスはもっとも生活に身近に接するヘルペスウイルスがあった。脊椎動物の進化歴史上ヘルペスウイルスは常にその伴走者として共に進化してきたその結果現存する地球上の脊椎動物は、どの種の動物も少なくとも1種類のヘルペスウイルスをもっていると言われている。しかもそれらのヘルペスウイルスは我々の日常生活のすぐ傍らで生きていると言われている。


 いつからこのような共生関係を続けてきたのかはわからないとされているが、少なくともいくつかの種類のヘルペスウイルスは、20万年に及ぶと考えられる。我々の進化の歴史を我々と共に行き続けてきたのではないかと考えられている。



その共存状態は、多くの場合は真の共存であり宿主である我々の生命が侵されるようなことはなく、ヒトとヘルペス属ウイルスとは、いわば仲良く生存し続けたとされている。

<分類>

 性情はヘルペスウイルス科に属するウイルスで、線状の2本鎖DNAをゲノムとして持つDNAウイルスである。

 分類は、(1)αヘルペスウイルス。
     (2)βヘルペスウイルス。
     (3)γヘルペスウイルス
にわけられる。

 その中でもαウイルスには単純ウイルス属の単純ヘルペスウイルス1型(HHV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HHV−2)、水痘ウイルス属の水痘・帯状疱疹ウイルスがある。



 ヘルペスウイルスは初期感染後、宿主体内の三叉神経節や坐骨神経に潜伏感染し宿主免疫能が低下した際に再活性化し、時に回帰発症するという生物学的特徴をもつ。再活性化は各ウイルスの潜伏感染細胞になんらかの刺激(シグナル)が入ると再開されることから外傷というシグナルで再活性化される。                  

 

<<対 象>>

頚部、背部 症状別比較表  (21症例分)       

外傷性のみの症状

ウイルス性神経炎を伴った症状

疼痛の部位の状態

負傷部位又周辺の痛み

局所が徐々に広範囲の痛み

痛みの発症

筋性疲労・炎症

刺激による回帰発症

発生機序

運動制限又、力学的等の異常

再活性

痛みの程度

運動時→著明
安静時→間欠性

運動時→刺激痛・電激痛・灼熱痛

安静時→運動痛により若干弱いが持続性

腫 脹

患部著明・若干

患部著明は少ない又、腫脹を認めない

関節可動域
自動関節可動域
他動関節可動域
抵抗関節可動域

負傷によって可動域制限有り

認めず

知覚異常

若干過敏反応有り

広範囲での知覚過敏・知覚紙麻・著明

初期における両方の類似

初期における外傷性の症状

初期におけるウイルス神経炎を伴った症状



外傷性において初検時からの施術に対し症状軽減に至らず転医したウイルス性神経炎を伴っていたと、医師から診断された男女21名の症例とする。               
<<方 法>>

外傷性とウイルス性神経炎との判別基準には以下の4項目で実施試みた。

(1)問診 疼痛部位、痛みの発症、発生機序、痛みの変化、脊椎損傷の既往歴
(2)視診 頭部前方姿勢,肩に対する頭部の位置、頚部両側の軟部組織の比較
(3)触診  A前方の構造 舌骨、甲状軟輪状軟骨、胸鎖乳突筋、斜角筋、リンパ節

B後方の構造  後頭/上線 横突起、棘突起 僧帽筋 C関節可動域        

(4)神経皮膚分節テスト        

<<結 果>>

 疼痛の部位は外傷性のみの場合局所が多く、ウイルス性神経炎を伴っている場合広範囲で、その多くは頚腕痛を伴うことが多い。

 痛みの発症は、外傷、筋疲労、炎症等が刺激になって回帰発症する。
 発生機序は運動制限、力学異常による筋、筋膜炎であり、これらに免疫力の低下と疲労等が加わるとウイルス性神経炎が活性化する。

 痛みの程度は外傷のみでは、運動時には著明、安静時は若干の痛みであるのに対して、ウイルス性は運動時著明、安静時では刺激・電激・灼熱痛が多く、神経皮膚分節テストでは外傷とは異なる広範囲に渡る知覚過敏と知覚鈍麻が存在するのもこの特徴でもある。初検時における負傷部位の痛みと症状は、激痛的なものは少なかった。


 


過去10年さかのぼって口唇ヘルペス,帯状疱疹等のウイルスによる既往歴が症例患者21名全員に見られた。

<<考察と総括>>

 外傷とウイルス神経炎は日常どこにでも、起りうるもので健康状態によって変化する。

 季節の変り目など発症しやすく、男性よりも女性に多くみられ両者とも30代から40代にかけて多かったことが印象的であった。また症例21名全員の皮膚は表在性の疾患もなく、症状の判別については、神経皮膚分節テストで知覚の異常を調べる事がもっとも有効な手段であった。



(座長の感想)   

 一般的外傷とは十分区別が必要なので良い切り口だった。ただ転医するまでの経過をもう少し具体的な内容にすれば良かったと思う。