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<<緒 言>>
柔整師が臨床の現場で取り扱う外傷性頚部捻挫、背部挫傷の中で一般的であるが、頚椎胸椎の器質的変化を伴う疾患で転医する報告は多い。
過去3年間において当院で扱った頚椎、胸椎の器質的変化のない外傷性頚部捻挫背部挫傷の中で、ウイルス性の神経炎を伴った21症例が日常施術の中にあった。
(すべて医師の診断による)初検時外傷性と類似し、なぜ外傷性に伴って神経節に潜伏しているウイルスが活性化発症するのか、医師の診察結果を基に、初検時から転医する間の施術21症例を分類判別比較した結果を報告する。
<<対象と方法>>
まず始めに今回症例に関係したウイルスについて簡単に説明する。
このウイルスはもっとも生活に身近に接するヘルペスウイルスがあった。脊椎動物の進化歴史上ヘルペスウイルスは常にその伴走者として共に進化してきたその結果現存する地球上の脊椎動物は、どの種の動物も少なくとも1種類のヘルペスウイルスをもっていると言われている。しかもそれらのヘルペスウイルスは我々の日常生活のすぐ傍らで生きていると言われている。
いつからこのような共生関係を続けてきたのかはわからないとされているが、少なくともいくつかの種類のヘルペスウイルスは、20万年に及ぶと考えられる。我々の進化の歴史を我々と共に行き続けてきたのではないかと考えられている。
その共存状態は、多くの場合は真の共存であり宿主である我々の生命が侵されるようなことはなく、ヒトとヘルペス属ウイルスとは、いわば仲良く生存し続けたとされている。
<分類>
性情はヘルペスウイルス科に属するウイルスで、線状の2本鎖DNAをゲノムとして持つDNAウイルスである。
分類は、(1)αヘルペスウイルス。
(2)βヘルペスウイルス。
(3)γヘルペスウイルス
にわけられる。
その中でもαウイルスには単純ウイルス属の単純ヘルペスウイルス1型(HHV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HHV−2)、水痘ウイルス属の水痘・帯状疱疹ウイルスがある。

ヘルペスウイルスは初期感染後、宿主体内の三叉神経節や坐骨神経に潜伏感染し宿主免疫能が低下した際に再活性化し、時に回帰発症するという生物学的特徴をもつ。再活性化は各ウイルスの潜伏感染細胞になんらかの刺激(シグナル)が入ると再開されることから外傷というシグナルで再活性化される。
<<対 象>>
頚部、背部 症状別比較表 (21症例分)
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外傷性のみの症状
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ウイルス性神経炎を伴った症状
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疼痛の部位の状態
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負傷部位又周辺の痛み
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局所が徐々に広範囲の痛み
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痛みの発症
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筋性疲労・炎症
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刺激による回帰発症
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発生機序
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運動制限又、力学的等の異常
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再活性
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痛みの程度
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運動時→著明
安静時→間欠性
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運動時→刺激痛・電激痛・灼熱痛
安静時→運動痛により若干弱いが持続性
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腫 脹
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患部著明・若干
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患部著明は少ない又、腫脹を認めない
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関節可動域
自動関節可動域
他動関節可動域
抵抗関節可動域
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負傷によって可動域制限有り
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認めず
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知覚異常
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若干過敏反応有り
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広範囲での知覚過敏・知覚紙麻・著明
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初期における両方の類似
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初期における外傷性の症状
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初期におけるウイルス神経炎を伴った症状
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外傷性において初検時からの施術に対し症状軽減に至らず転医したウイルス性神経炎を伴っていたと、医師から診断された男女21名の症例とする。
<<方 法>>
外傷性とウイルス性神経炎との判別基準には以下の4項目で実施試みた。
(1)問診 疼痛部位、痛みの発症、発生機序、痛みの変化、脊椎損傷の既往歴
(2)視診 頭部前方姿勢,肩に対する頭部の位置、頚部両側の軟部組織の比較
(3)触診 A前方の構造 舌骨、甲状軟輪状軟骨、胸鎖乳突筋、斜角筋、リンパ節
B後方の構造 後頭/上線 横突起、棘突起 僧帽筋 C関節可動域
(4)神経皮膚分節テスト
<<結 果>>
疼痛の部位は外傷性のみの場合局所が多く、ウイルス性神経炎を伴っている場合広範囲で、その多くは頚腕痛を伴うことが多い。
痛みの発症は、外傷、筋疲労、炎症等が刺激になって回帰発症する。
発生機序は運動制限、力学異常による筋、筋膜炎であり、これらに免疫力の低下と疲労等が加わるとウイルス性神経炎が活性化する。
痛みの程度は外傷のみでは、運動時には著明、安静時は若干の痛みであるのに対して、ウイルス性は運動時著明、安静時では刺激・電激・灼熱痛が多く、神経皮膚分節テストでは外傷とは異なる広範囲に渡る知覚過敏と知覚鈍麻が存在するのもこの特徴でもある。初検時における負傷部位の痛みと症状は、激痛的なものは少なかった。

過去10年さかのぼって口唇ヘルペス,帯状疱疹等のウイルスによる既往歴が症例患者21名全員に見られた。
<<考察と総括>>
外傷とウイルス神経炎は日常どこにでも、起りうるもので健康状態によって変化する。
季節の変り目など発症しやすく、男性よりも女性に多くみられ両者とも30代から40代にかけて多かったことが印象的であった。また症例21名全員の皮膚は表在性の疾患もなく、症状の判別については、神経皮膚分節テストで知覚の異常を調べる事がもっとも有効な手段であった。
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