11:10am〜11:50am




北海道柔道整復専門学校3年昼間部

 ○河田 洋, 伊藤 修平 

 テーマを選んだ理由は、垂直飛びというより身近な指標を使って、各種トレーニングがいかに影響を与え、効果として得られるかを研究を通して確認するためです。
 作成期間は6週間で、工夫した点は、各種運動の考察と結果への連動性です。少しでもこれからの臨床の参考にしていただければ幸いです。
 頑張ります。


<<目 的>> 

 目的は、3つの筋力トレーニングを行った結果、垂直飛びにどのような効果を与えたかを検証しました。

 対象は、
   男 性が21人。 21歳から51歳、平均28歳。
   女 性が 8人。 21歳から52歳、平均27.1歳。
   合 計 29人。 平均29.8歳で行いました。

 測定方法は各運動、一律4週間毎日実施し、毎週測定しました。


運動内容

   「スクワット」→「30」回 「3」セット
   「バービー」→「15」回 「3」セット
   「プライオメトリックス」→「20」回 「3セット」
   「コントロール群」→全くトレーニングの行わない場合としました。

 ○測定方法と期間
   ・ 各運動、一律4週間毎日実施し、毎週測定しました
   ・ 測定回数は計5回
   ・ 垂直飛びの測定方法は、




 写真の様にマークを付け、の様に飛び最高点にマークを付ける。測定はのマーク点から最高点までの垂直方向の距離とした。測定距離は小数点第1位までとし、2回飛んだ平均距離を測定数値とした。なお、靴の反発を無くすため素足で実施しました。

○運動の実施形態として、

 「スクワット」は、両上肢を頭の後へまわして固定し、膝関節60°屈曲までのスクワットとしました。

 「バービー」は、立位から床に手をついて、そのまま下肢を後方へ伸ばす。その後、下肢を元の位置に復位して立位へ戻す運動としました。

 「プライオメトリックス」は、膝関節の屈伸運動を極力抑え、両足跳躍で昇降を素早く反復する運動を行いました。その際に高さ15cmの台を用いて実施した。


≪測定結果≫

・ 初回測定との毎回の測定との比率で考察しました。また、コントロール群の誤差範囲から逸脱したものを有効性の指標としました。両側5%の危険率でT検定を行い次の結果が出ました。

・ 「コントロール群」は、2回目から5回目までの平均値に有意差はありませんでした。これはトレーニングを行わなかったため、当然の結果であると言えます。

・ 「スクワット」は、2回目と5回目の平均値に有意差があり、3回目・4回目は有意差がありませんでした。5回目測定の平均値が初回測定の10%の増加が認められました。

・ 「バービー」は、2回目・4回目は平均値に有意差がなく、3回目・5回目では有意差が認められ、5回目測定の平均値は初回測定の5%の増加が認められました。

・ 「プライオメトリックス」は、2回目から5回目までのどの測定でも有意差が認められませんでした。以上の結果に至った考察を次に述べます。


≪考 察≫

 ○『垂直飛びの運動特性についての考察』

 垂直飛びの記録を伸ばすためには次の2つが重要であると考えました。

 第1に『使用される筋の強化』であります。ジャンプ動作の主役となる筋は「大殿筋」、「大腿四頭筋」、「下腿三頭筋」であり、各筋の強化方法が重要となります。筋の最大収縮力を発揮するには、それに適した肢位があります。この3筋の運動学的特徴と肢位について述べます。

 「大殿筋」は股関節の伸展に作用するが、収縮力が最大となるのは「股関節屈曲」位からの伸展です。筋力を最大限に発揮させるには、主動作筋を適度に緊張させることにあります。例として、陸上短距離のスタート姿勢(股関節屈曲・膝関節軽度屈曲)であります。

 「大腿四頭筋」は膝関節の伸展に重要な筋です。四頭筋筋力の4/5は大腿下腿筋である三つの広筋であり、1/5は骨盤―下腿筋である大腿直筋とされている。そのほとんどが膝関節の伸展に関与していますが、直筋だけは二関節筋であり、しゃがみ姿勢から立位の際には、殿筋の作用により骨盤の後傾が加わり、直筋は伸長されます。このため、四頭筋は膝伸展において全領域で収縮力が衰えないという特徴があります。

 「下腿三頭筋」は大腿下腿の二関節筋でありますが、膝関節の屈曲には関与しておらず、足関節底屈を主とする筋であります。この筋も他の筋と同様に適度な緊張によって筋収縮力を発揮するため、最大効果の発揮肢位は「膝関節伸展位」からの足関節底屈であります。

 第2に『垂直に飛ぶこと』であります。ジャンプ中の姿勢やバランスも記録に関与したと考えられ、これには下肢の3関節の協調した運動が重要である。つまり、「大殿筋」、「四頭筋」「三頭筋」の個々の強化とともに協調性の促通が重要であるといえる。これにより、空中姿勢の保持によるタッチスキルの正確性などが向上するとも考えられます。


 ○『スクワットの運動特性』

 測定の結果より、スクワットが最も効果を示した理由としては次の3つの特性が考えられます。

トレーニングの対象となった筋が「大殿筋」と「四頭筋」であったこと。この2筋はジャンプ動作の主役であり、スクワットが大殿筋と四頭筋の強化に有用であるという論文や報告も多数ありました。 

トレーニングに際して、重心が安定した状態での筋強化であったため、標的筋に対して有効に作用したと考えられます。安定した重心で行うということは、下肢3関節の運動とそれに伴う筋の連動がスムーズであることを示唆しています。   

運動技能の向上にはフォーム・正確性・速度・適応性などが重要であり、垂直とびに類似したスクワット動作の繰り返しによって、垂直飛びのフォーム・運動の正確性が養われ、バランスのとれた垂直飛びが可能になったと推察されます。

 ○『バービーの運動特性』

 スクワットに次いで効果を発揮したバービーだが、参考文献・資料不足のため、運動の特性を推測しました。考えられた特性として、バービーは「立位→手を床に付く→両下肢を後方に伸ばし腕立て伏せ姿勢→両下肢を再び引きつける→立位へ」の繰り返しによる全身運動が主体であります。運動中で、両下肢を後方へ伸ばす動作がありますが、筋強化の効果としては不十分であったと感じます。

 また、しゃがみ姿勢から立位への際、スクワット的動作が入っているため、ここで、大殿筋・四頭筋の強化がなされたのではないかと推測します。

 運動全体としては、立位から腕立て伏せ姿勢への繰り返しによって、筋強化よりも、全身の運動量が多く、そのため垂直飛びに必要な筋力や下肢3関節の協調性に貢献しにくかったことが、記録が伸びない原因ではないかと推測します。


○『プライオメトリックスの運動特性』

 プライオメトリックストレーニングは伸長−短縮サイクルから筋反応時間の短縮と瞬発力を養うトレーニングであります。結果と動作内容の分析から、以下のことが分かりました。

このトレーニングは筋の短縮−伸張の反復により伸張反射を介した筋反応時間の短縮が目的であり、左右への反復運動やダッシュ−ストップの切返しなどに有効な運動あります。つまり、動→動の運動に適しているもので、垂直とびの様に静→動の運動には適さないと考えられます。

筋強化の標的筋である三頭筋は膝関節伸展時での足関節底屈で最大効果を発揮する筋であります。しかし、この今回の運動は、膝・股関節運動を極力抑えた方式で実施したため、垂直飛びに最も必要な大殿筋・四頭筋の強化に貢献しなかったと考えられます。

 以上のことから、プライオメトリックス運動は垂直飛びには効果を示しませんでした。しかし、筋反応時間の短縮と瞬発的動作の強化には、大きな影響を与える運動であることが論文や専門書に記載されています。


≪結 論≫

 結論として、垂直飛びに最も似た形式の「スクワット」が効果的であった。

 さらに、今回の研究結果と参考文献などから、ある動作の強化に必要なトレーニングは、その動作に類似したトレーニングが最も効果的であることが分かりました。そして、筋力を最大限に発揮できる関節の肢位や姿勢、方式を理解することに加え、動作を意識したトレーニングをすることが更に効果を発揮できるものと考えられます。

 今回は、4週間のトレーニング、5回の計測と設定したところ、5回目計測(最終トレーニング結果)でのみ各トレーニングの正規性は証明された。

 これはトレーニング内容の違いよりも個人差が大きく影響していると考えられ、一様な結果を得るためには最低4週間のトレーニングが必要であると思われます。

 しかし、垂直飛びは測定が簡便で指標として感覚的に理解しやすい為に用いましたが、実際のスポーツコンディショニングやリハビリにおいて必ずしも有効な指標ではなく、それぞれの目的に応じた指標の設定が必要であると考えられます。

 今後の課題としては、運動の相違点と結論がより明確に比較できる研究内容が重要であると考えます。具体的には各運動の前後での周径計測など個々の具体的な変化やトレーニング様式を「スクワット」に絞って、膝屈曲角度や上肢の影響などの違いの研究が必要であると考えました。







北海道柔道整復専門学校3年夜間部

 ○仲尾 郁哉

 このテーマを選んだ理由は、身近にあるラジオ体操が本当に効果のあるものなのかを知りたかったためです。作成期間は約3週間です。 苦労した点としては、わかりやすいパネルにするには、どのような構成にするのが良いかということを悩みました。

 その努力の結果、みなさんにわかりやすく発表できればと思っています。


 

<<目 的>>

 私達は、スタティックストレッチとバリスティックストレッチによる柔軟性の改善について比較しました。

 柔軟性の改善は治療において、スポーツのパフォーマンスの向上、ケガの予防など非常に重要であると考えました。

 そこでラジオ体操という誰もが知っていて容易に行える、バリスティックストレッチとして位置づけられる柔軟体操に目をつけ、それが身体の柔軟性にどのような影響をもたらし、医療・スポーツの現場において適応可能かどうかを検討することを目的としました。


<<方 法>>

 方法として私達夜間部3年26名を対象とし、ラジオ体操群10名、ストレッチ群10名、コントロール群6名の3群に分け、1週間継続して柔軟性の変化を比較しました。

 ラジオ体操群はラジオ体操の前後にFFD、HBDを測定しました。ストレッチ群は四頭筋・ハムストリングス・腸腰筋・下腿三頭筋のスタティックストレッチの前後でFFD、HBDを測定しました。コントロール群はFFD,HBDの測定だけを行いました。HBDの測定に関しては、測定を行う者により差が出やすいため、各グループの特定の者が行うようにしました。


<<結 果>>

 結果のグラフは、各群で初日の一番最初の測定の結果と最終日の最後の測定の結果を表したものです。FFDでは、コントロール群を含む各群とも改善が見られるという結果になりました。HBDについては、ラジオ体操群では大きく変化し、コントロール群では改善があまり見られなかったことを示しています。


 次に、各群の実施後の時間推移を表したグラフを示しています。HBDの測定についてですが、私はラジオ体操のHBDの測定を担当したのですが、力の入れ具合が難しく、日によるばらつきが大きいです。つまりHBDに関しては少々信用性にかけるデータではないかという感じがしました。


<<考 察>>

 以上の研究を続けて分かったラジオ体操とスタティックストレッチの、それぞれの長所と短所について考察します。

 バリスティックストレッチとして今回選択したラジオ体操の長所は、短期間での柔軟性獲得が可能ということです。FFDの時間変化のグラフを見ると4日目くらいまで急激に柔軟性が改善していることが分かります。まただれでも容易に行うことができ、体操の実施時間も短いため継続しやすい事も長所と考えられます。短所としては反動を付けて行うバリスティックストレッチのため、誤って行うと伸張反射を起こし筋緊張や筋損傷の恐れがあることです。また特定の禁止か伸ばせないため、柔軟性に偏りが出る可能性があります。

 スタティックストレッチの長所としては筋緊張や筋損傷を起こすことは少なく安全であること、色々なアプローチの仕方がありその組み合わせによって様々な筋を伸ばすことができること、動くことが困難な人には他動的に行うことができるなどが挙げられます。短所としては結果が出るまでに時間がかかること、ストレッチや筋についての知識が必要なため的確な指導者が必要なこと、動きが少なく効果も現れにくいため継続が容易ではないことなどが考えられます。今後の課題としては2週間、3週間と継続した場合にどのような結果になるかという事です。

〜バリスティックストレッチ〜

長所→

・短期間での柔軟性獲得が可能
・誰でも容易に行うことができ、短時間の為継続しやすい

短所→

・反動をつけて行う為、誤って行うと伸張反射を起こし、
 筋緊張・損傷の恐れがある
・特定の筋しか伸ばせない為、柔軟性に偏りがでる可能性
 がある

〜スタティックストレッチ〜

長所→

・筋緊張・損傷を起こすことは少なく安全
・様々な筋を伸ばすことができる
・動くことが困難な人に他動的に行うことができる     

短所→

・成果が出るまでに時間がかかる
・知識が必要・動きが少なく、効果も現れにくい為、継続
 が容易ではない



<<結 論>>

 結論として、1週間という短期間でこのような有意な結果を得たということは、ラジオ体操は工夫をして活用することで柔軟性改善の為のツールとなる得ると考えました。特定の筋にしかアプローチできないため、不十分である可能性もありますが、苦労なく続けられる点と誰にでも行える点から、治療・スポーツ現場に適応可能ではないかと考えます。治療においては患者さんに対し定着が難しい体操やストレッチを誰もが知っているラジオ体操に変えることで、柔軟性獲得ができ、治療効果の改善を期待できると思われます。スポーツ現場においても、W.VやC.Dとしても使用できると考えました。

 ラジオ体操とスタティックストレッチの長所をあわせたアプローチができればより良い効果を得られるのではないかと考えられます。例えばラジオ体操はハムストリングスや腰背部のストレッチは含まれていますが四頭筋のストレッチが入っていません。そこでラジオ体操に四頭筋のスタティックストレッチを加える等を実施することでさらに柔軟性を獲得できると考えられます。

 そして治療やスポーツにおいてだけではなく、柔軟性を獲得することで健康の維持にも役立つはずなので、手軽に行えるラジオ体操はその意味でも重要であると考えました。